陽だまり通信vol.8
[2008.07.01]
精神科急性期治療について
院長 小栗 一元
最近の精神科急性期治療の現場は、1 0年程前と比べると大きく変わってきています。以前は、入院する患者 様の大半が統合失調症(精神分裂病)でしたが、最近は非常に多様化しています。以前は、ごくまれにしかみら れなかった児童思春期の患者様も、最近はよくみかけるようになりました。また、高齢化社会を反映し、認知症などの高齢者の入院も増えています。また、入院期間は以前に比べ短くなっており、長期化するケースの頻度も少なくなっています。その原因として、副作用が比較的少ない新しい薬(非定型抗精神病薬やSSRIなど)の登場 が考えられます。その他の要因としては、退院後の患者様をサポートする地域社会資源が充実してきたことが考えられます。そのため、急性期病棟は入退院が多く、ややあわただしい雰囲気になっています。薬以外の治療の 面でも変化がみられます。従来は医師を頂点としたピラミッド型の医療が中心でしたが、最近は医師、看護師、 薬剤師、臨床心理士、作業療法士、精神保健福祉士などが、それぞれの専門的知讃や技能を生かし、多職種でか かわる水平型の医療に移行しつつあリます。